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リピーターを生むお店にあるものとは

  • 山口 祐臣
  • 2019年6月21日
  • 読了時間: 4分

先日、頻繁に着ていたスーツがダメになってしまったため、スーツを探しに行ってきました。  まず訪れたのは百貨店。 時間が遅いためか、沢山のスタッフの方が待機しています。私に合うサイズを探して歩いていると、ご年配の女性が 声をかけてくださり、コーナーまで案内してくれました。希望のサイズや色を伝えたところ、何か探しに行かれたのか居なくなってしまいました。  しようがないので、ラックにかかっているスーツの中に近いものが無いか探そうとしたところ、横から手が伸び私が見ようとしていたスーツを2~3着まとめて取ってしまいました。誰だろうと横目で見ると、先ほどの店員さんでは無い別な女性スタッフ。後ろを振り返るとすぐ後ろにご夫婦のお客さんがいました。 ようやくここで割り込まれた状況に理解が出来、私は非常に残念な気持ちになり、早々に立ち去りました。  別の日に訪れたのはスーツ専門店。 入店するなり目に入ったのが、スマホで電話している男性のスタッフ。お店は混雑しているのですがもう一人のスタッフは接客中で、他には誰もいません。めぼしいスーツを見つけたものの、サイズの確認をしようにも他のスタッフはいなく、例の電話をしているスタッフしかいません。少しの間待ってみたのですが、私が店を出るまでずっと 電話は終わりませんでした。  最後に訪れたのがアウトレットの海外ブランド。 ここもすでにお客さんがいて、接客中。もう一人のスタッフが出てきたのですが、先にいた別なお客様の対応をします。そのため一人でスーツを見ていたのですが、最初にいたスタッフの方が、担当しているお客様が鏡を見ている間に声をかけてくださります。「忙ししそうなので自分で見ます」と遠慮申し上げたものの、担当していたお客様が試着に入った時を見計らい、5着ほどスーツを抱えて来てくださりました。 「このスーツがオススメです」と満面の笑顔とともに。  その中の1着がスーパー130’Sという繊細な生地を使った素晴らしいスーツで、とても私のような慌ただしく 動く人には合わないものでした。そのように伝えたところ「でも私は、これが一番お似合いだと思います。ぜひ お考えください」と返ってきました。確かに、とても着心地がよく身体の動きを邪魔せず、普段は選ぶことのない 柄物も、着ていると段々と馴染んでくるものでした。

 試着してみたのですが、いずれもサイズが合わず残念ながら購入には至りませんでしたが、「またぜひお越しください」と、素敵な笑顔とともにお見送りしていただき、非常に気持ちの良い時間を過ごすことが出来ました。

 どの接客が良いか、答えを述べるまでも無いと思います。 周囲の状況を的確に判断し、その時の最善を尽くす。この基本的なことすらなされず、自分のことだけしか考えていない店舗スタッフが非常に多いのが実情です。 「値段が高いものなら良い接客になるのは当然」ここでお伝えしたいことは、そういったことではないのです。 また、ブランド担当者の個人の人柄の良さも、お客様の立場に立った行動をとることが出来る資質という意味で無視できない要素です。しかし、人柄の良さだけではタイミングよく質の良いスーツをお勧めすることは出来ません。お客様が必要とする(と思っている)ものを提案することはもちろん、同時にファッションのプロとして、似合うものを提案することは正しい知識と、豊かな経験がなければ出来ないことです。  その時、お客様がそれを買うならばもちろん正解です。しかし、その時に買わなくとも正解なのです。なぜでしょうか。お客様が知らなかった、あるいは考えてもいなかったデザインや素材の服に触れていただくことで、お客様の知識や価値観に新たな経験を追加することが出来たからです。また、そのブランドの商品の豊富さや奥行きの深さを体感することでブランド価値の向上につながります。  つまりお客様の選択肢を広げること、ブランドへの好意や愛着、好奇心を深めたことになります。 きっとここまで出来たお客様は、次の機会にもそのスタッフに会いにお店に足を運び、買い物の相談をすることでしょう。つまりお客様の信頼を得るとともに、次の買い物の選択に影響を与えることが出来たのです。  良い接客をするためには、接客のノウハウを書いた本を読んだり、上質な接客を経験することで独力でも学ぶことが出来ます。しかし、刻々と変わる店舗状況、商品、お客様。さらには自らの体調や感情の波なども変化しています。こうした変化の中で、良い接客を常にすることは難しいものです。  多くの海外ブランドは、入社研修はもちろん、頻繁かつ多岐にわたるトレーニングプログラムが用意されています。社員教育の重要さを、たった一回のショッピングの体験からでも感じた次第です。  名の通った有名な看板のあるお店、質の良い商品と美しく整った店舗環境を用意できるお店が良いお店、とは必ずしも 言えないと思います。 ご自身の会社、お店はどうでしょうか。 本当の意味でのクライアントファーストの店舗になっているでしょうか。

 
 
 

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