公益資本主義の3つの柱
- 山口 祐臣
- 2017年11月18日
- 読了時間: 3分
前回は、「公益資本主義」という考え方のご説明を させて頂きました。 今回は、フォーラムの具体的な中身に入ろうかと 思いましたが、もう少しだけ「公益資本主義」とは 何なのか。補論をさせて頂きたいと思います。 「公益資本主義」の大きな目的が、社会と企業の 安定的かつ持続的な発展であることはご説明いたし ました。 その目的を果たすために、具体的に何を行なって 行くのか。大きな3本の柱がありますので、それを ご説明していきたいと思います。 ・企業の短期的経営手法から中長期的経営への転換 近年の企業経営は、株価とそれに影響を与えるROE (自己資本利益率)に代表される指標、株主配当をいか に高く保つかに重きが置かれていました。そのため、従 業員を削減し非正規雇用に置き換えたり、中長期の研究 開発費を抑制することにより、指標を高く見せることで 短期的に市場に好印象を与える経営判断ばかりが行われ てきました。 研究開発や、人材育成は一朝一夕で行えるものではあり ません。一度途絶えてしまえば、人的資源や設備が失わ れ、中断地点まで再度到達することすら、容易ではあり ません。結果が出るまで辛抱強く耐える経営側の忍耐力 が求められます。 ・社中分配 社中と呼ばれる、経営者、従業員、仕入れ先、顧客、 株主、地域社会、環境、地球全体。全ての関係者が 幸福かつ健康で、持続的な社会を形成するために、 「企業は株主のもの」ではなく、「企業は社会の公器」 つまりみんなのものである。株主だけに利益を分配 するのではなく、利益が上がれば全ての関係者がそれを 公平に享受するという考え方です。 ・起業家精神による積極的投資 1. 研究開発費等、長期的視点による投資を行い、社会的 イノベーションを起こす技術開発を行うことで、社会全体 に貢献する。新たな需要創出から生み出される利益から 社中分配を行う。 2. 人材教育の促進により、イノベーションを起こす。 従業員はコストではなく、経営者とともに企業を支える パートナー。だからこそ適切な投資により人材を育てる。 企業にとっては、研究開発の促進や、経験や知識の蓄積 などによる持続的な成長の源となり。従業員にとっては 正社員化により雇用の安定化を生みます。また、社会に とっては、消費の拡大、晩婚・少子化の抑制に繋がり、 株高による形のない好景気とは異なり、イノベーション による、より健康で安全な生活と、安定した収入による 「実感の伴う豊かな社会」を生み出します。 これらを確実に実行できる経営が、多くの課題が待ち 受ける、これからの時代を生き残る「21世紀の企業経営」 と言えるそうです。 次回からは、ようやく会議の内容に触れていきます。

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