公益資本主義とは
- 山口 祐臣
- 2017年11月14日
- 読了時間: 2分
前回は、冒頭の来賓の方々の言葉を ご紹介しました。 皆様の中には、疑問があると思います。 今回の会議のテーマにある言葉、「公益資本主義」 とは、そもそも一体、何なのか。 「資本主義」とはどう違うのか。 私自身も、消化しきれているとは言い難いのですが 一生懸命、ご説明していきたいと思います。 「公益資本主義とは、企業は社会の「公器」であり、その目的は事業を通じて「公益」に貢献することだという考え方です。企業が事業を通じて「社中」(その企業に関係する経営者、従業員、仕入れ先、顧客、株主、地域社会、環境、地球全体)に貢献するような資本主義のあり方です。「公益」と言うと、利益を追求するのが悪いことのように錯覚されがちですが、その点は注意しなければいけません。社中に対して永続的に利益を分配するためには企業が十分な利益を上げることが大前提となります。企業が十分な利益を上げて初めて、それを社中に分配することが可能になるのです。『2017 ワールド・アライアンス・フォーラム』プログラムより抜粋 かつて近江の商人たちが、心得としていた言葉に 「三方よし」という言葉があります。 「売り手よし」自らも商人。利益を上げ、自らや 家族だけでなく、仕事を支えてくれる従業員やその 家族の生活を守る必要があります。 「買い手よし」お客様や取引先。質の悪い商品を 渡したり、騙したり。そんな仕事をしていては お客様が不幸になり、もちろん自らも信用を失くし やがて、商いは立ち行かなくなることでしょう。 「世間よし」地域や社会。自分たちが生活を営み 商いが出来るのも、地域の人々や社会があってこそ。 自らの商品やサービスを提供することで、社会を良く することはもちろん。寄進などを行うことで、地域を 発展させることも、社会のためであることはもちろん。 ひいては、自らの商いをより大きくすることに繋がり ます。 最近の言葉でいうと、行きすぎた自由主義経済への 反省から、取り上げられるようになった言葉「CSR ~企業の社会的責任~」や「サスティナビリティ~ 持続可能性~」などに該当するものです。 海外の先進的な考えだなあ、と感心していた方も多い かと思いますが、実は18世紀半ばの日本人はすでに こうした考えを持っていたのです。 「公益資本主義」は、この「三方よし」の精神を現代に 呼び覚まし、経営手法や、経済財政制度、政策といった より具体的な方法論として、体系化したものです。 いかがでしょうか。 次回以降は、フォーラムの具体的な中身を抜粋して ご紹介して参ります。

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