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アパレル業界は死なない

  • 山口 祐臣
  • 2017年8月31日
  • 読了時間: 5分

非常に刺激的なタイトルの付けられたこの記事。 下記の記事を読んだ感想として、おおよそ概略としては要点を捉えている ものの、販売において最も重要なポイントを見誤っています。 ・接客する現場スタッフの力を無視した論理を進めている。 ・現在のネット通販における限界を考慮に入れていない。

アパレル業界は、どうやら「死にかかっている」かもしれない

8/31(木) 15:00配信

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170831-00052688-gendaibiz-soci 「ファッション通販サイトで、膨大な量の衣服を回覧できるのは魅力的です。」 自らの限定的な知識や経験に基づいてチェックする限り、新たな発見をする 可能性が低いことに言及していないのは、マーケティングという机上の論理で ファッションを語る筆者の限界を表しています。 今でこそ、長い間ファッションや時計宝飾の業界に身を置き。 こんな一丁前のようなことを書く私ですが、若い頃はファッションに まるで興味がなく。唯一好きだったのはミリタリーファッション。 レザージャケットやモッズコートにTシャツやスウェットを合わせ。 ボトムスは、太めのデニムを穴が開いても履いていました。 そんな私が、今に至る大きな影響を受けた店員さんが二人います。 何かのきっかけで見かけた雑誌に影響されて行ったお店の店長さんが フィッティングの大切さを教えてくれた方。 それまで、トップスも ボトムも余裕がある、ルーズフィットが大好きだった私に、ジャスト サイズの服で身体のラインを出すことの格好 良さを教えてくださりました。 彼のおかげで、すっかりファッションにのめり込み、それまでの服を ほとんど着なくなるほど、そのブランドの服を買いました。 もう一人はカラーコーディネート。 なんとはなしにのぞいた、百貨店のバーゲン会場で出会った方。 上記の店員さんのおかげで、サイズの合った服選びをするように心がけて いたものの、そのブランドがモノトーンでシンプルなデザインが多いため、 手持ちの洋服の色数は多くありませんでした。 そんな話をした私に、彼女が 提案した色は、なんとフューシャピンク。 ピンクは女性の着る色という イメージを持っていた私は、断固拒否をしました。 しかし彼女は「絶対に似合うので」「差し色を使った方がアクセントになりますよ」 とあまりに熱心に勧めてくれるので、情熱に負けて騙されたと思い買ってみました。 そのニットを着て外出すると、思う以上に周囲の評判が良いのです。 気を良くした 私は、明るい色味も好んで選ぶようになりました。 デニムブランドに移った彼女の アドバイスで、デニムが伸びることや 色落ちすることを踏まえた選び方なども教わり、 ファッションの幅もより大きく広がりました。 お二人に出会っていなければ、きっとその後の私の人生は無かった。 そう言い切れます。 オーバーではなく、ファッションの世界には人生を変える力があると私は思うのです。 こうしたファッションを愛する人たちを自社スタッフにし、低賃金長時間労働させる ことで利益を出してきた主に「国内ファッション」企業。彼らの情熱を搾取したこと により、やがて熱意あるスタッフは去り、人手不足に陥った企業は、派遣や非正規 雇用者を中心に店舗を構成します。 短期雇用者への教育などなされるはずもなく、 ファッションの知識と 情熱を持たないやらされ感の漂うスタッフが多くを占めるように なりました。 また、リンク先記事では大いに評価されているファストファッションにも 多くの問題があります。 ファストファッションでは、多くの店では服選びはお客様任せ。スタッフは会計や商品の 陳列整理が主な仕事であり、接客はほとんどしません。 人には「恒常性」(ホメオスタシス) という本能が備わっています。 厳しい外的環境の変化に耐えられるよう、自らの状況を一定に 保とうとするいわば自己防衛機能と言っても良いものです。 当然ですが、お客様が自らの意思 のみで従来の価値観と異なるものに 手を伸ばすことは非常に難しいと言うことです。 更に言えば、ファッションの勉強をすることも、お客様とのやりとりを経験することもなく スタッフの接客スキル向上は限定的になってしまいます。

「クールジャパン」「kawaii」世界に発信できる独自の文化を作り上げたにもかかわらず こんな閉塞感を感じる記事が出てしまう、日本のファッション文化ですが、それぞれの立場で 出来ることが、まだまだ沢山あるのです。 あなたがお客様なら。 時間と手間と交通費はかかりますが。街に出て店舗に行き。 新しい品に触れ、店員さんと話し、 試着をしてみてください。 ネットショッピングにはない、服のライン、手触り、着心地。 そして新たなファッションを纏った雰囲気の違う自分の姿。 店を訪ねる前の自分と、それ以降の自分は必ず違うはずです。 あなたがスタッフなら。 勇気を持って、自らお客様に一歩踏み出して話かけてください。 本当にお客様が望む、隠されたニーズを発見してください。 そのためにも、読書、新聞、雑誌、映画、音楽、美術。沢山の情報を得る努力を惜しまないでください。 常に最新の情報を持つ「新鮮な」あなたはお客様にとって 新たな価値を提供してくれる有益な存在であることはもちろんのこと。それらの蓄積はより魅力的な将来のあなたを形作ります。 あなたが万が一、経営者なら。 お客様との最前線に立つスタッフは笑顔ですか?明るいですか? 積極的に話しかけてくれますか?勤務時間は適正ですか?休みは取れていますか?プライベートは充実していますか?極度の節約に追われたり、夜の仕事との掛け持ちをしていませんか?将来のキャリアプランは提示し ていますか? 仕事に誇りは持っていますか? これらが実現された時。ファッションの世界はまた輝きを取り戻すはずです。 お客様とスタッフとの幸福な関係が続く限り「ファッションは死にません」 なぜなら。 人は誰しも皆、より良く、素敵になりたいと言う願いを必ず 持っていますから。

 
 
 

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