ブラックアルバイトで疲弊する学生
- 山口 祐臣
- 2016年9月2日
- 読了時間: 4分

先日、大学生の方とお話をする機会が ありました。学生生活を謳歌し 就職活動に悩み、将来の姿を模索する 姿はいつの時代も変わらず微笑ましくも 頼もしくもあります。 そのなかで気になる話がありました。 それはアルバイトの話。 親の所得が伸び悩むなか、留学や 自らの生活のためにアルバイトで 収入を得ようとする方は多いようです。 しかし、その学生アルバイトを いいように利用して不当に利益を得よう とする企業が残念ながら存在するようです。 あるカフェでは、時間通りに出勤していた にも関わらず「姿を見ていない」と 言いがかりをつけ、1時間分の時給を減額し。 某大手レストランチェーンでは、休み希望を だしたところ「休むなら代わりを探してから 休め」と強要され同僚に代わりの出勤を頼みに 奔走させられ。 あるところでは、従業員に指導と称して 殴る蹴るなど暴行を加え。 事前に3連休を希望したところ「無責任だ お前のせいでどれだけ迷惑をかけるんだ」と 罵倒され。 2ヶ月前に退職希望を伝えたところ 「かならず代わりを探してから辞めろ」 と引き伸ばされたというひどい事例もある そうです。 アルバイトは有給休暇や社会保険などの 福利厚生の対象とならず、賃金も 低く抑えられる代わりに、求められる 成果や責任も低いものであったのが 本来の日本のアルバイトの雇用実態。 それが、いつの間にかノルマを課されたり 休みすら希望通りに取れないほど、現場の 主戦力とみなされてしまっています。 それが故に、学生の本分である学業や 健康的な心身に支障をきたし、社会や 大人に対する不信感を持つ学生もいるようです。 総務省では日本の労働人口が50年後には 現在の半分の4,400万人に低下すると公表 しています。 また、サービスレベル向上が求められる 現在において、短期で入れ替わり立ち代わり となる雇用形態では時間のかかるスキルや 知識の向上は望むべくもありません。 アルバイトありきの経営が将来成り立たない ことを知った上で、なんらの経営努力も しないのは無策であると言い切れます。 そもそも労働力を安く確保して極限まで 搾り取り、労働調整弁として利用したりする など安易な手法で利益を生み出す。 その経営手法は本来払うべき、社会保障費や 税金、正常な対価となる給与を支払わない ことにより将来育つべき国力を吸い取って 現在の自らの私益にしていると認識するべき です。 こうした安易な企業経営の手法を真っ向から 否定した企業経営者が松下電器産業の創設者 松下幸之助氏。 以下は著書「道をひらく」の一節です。 「企業は社会の公器」 この言葉を、今一度噛みしめる必要が ありそうです。 生かし合う 人間の生命は尊い。尊いものは誰もが尊重 しなければならぬ。 ところが、自分の生命の尊いことはわかっても 他人の生命もまた尊いことは忘れがちである。 ともすれば私心に走り私利私欲が先に立つ。 つまり、自分にとらわれるということで、これも 人情としてやむをえないことかもしれない。 しかし、これではほんとうに、おたがい相互の 繁栄は生まれないであろう。
人間本来の姿は生かされないであろう。 やはり、ある場合には自己を没却して、まず 相手を立てる。自己を去って相手を生かす。 そうした考えにも立ってみなければならない。 そこに相手も生き、自己も生きる力強い繁栄の 姿がある。尊い人間の姿がある。 自己を捨てることによってまず相手が生きる。 その相手が生きて、自己もまたおのずから 生きるようになる。これはいわば双方の 生かし合いではなかろうか。
そこから繁栄が生まれ、ゆたかな平和と幸福が 生まれてくる。 おたがいに、ひろく社会の繁栄に寄与するため、 おたがいを生かし合う謙虚なものの考え方を 養いたい。

























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